近隣トラブルのある家の売却
不動産を売却する理由のうち、意外と多いのが近隣・隣人トラブルです。
「理由なくクレームをつけてくる隣人」 「隣室から聞こえてくる大音量の音楽」 「ペットの鳴き声」 隣人とのトラブルが起きてしまうと、ストレスが溜まってしまい転居を余儀なくされるケースが少なくありません。
最終的に売却を考えた場合、近隣トラブルがあると、買い手が見つかりにくいばかりか不動産の価格にも影響します。
できるだけ伏せておきたいと考える方もいるのではないでしょうか。
結論からいえば、近所トラブルのある家でも売却自体は可能です。
しかし、トラブルを残したままだと、売却価格が下がったり、売れるまで時間がかかったりする可能性があります。
また、買主から損害賠償を請求されたり、慰謝料を請求されたりする可能性もあります。
そこで今回のコラムでは、近所トラブルがある家の売却方法を解説します。
よくあるご近所トラブル
1,騒音トラブル
トラブルの原因となる騒音
- 子どもの声や走る音
- 車のエンジン音やアイドリング音
- 宴会やカラオケの音
- 一般生活音
- エアコン室外機やヒートポンプ給湯器の運転音
- ペット(とくに犬)の鳴き声
隣家から聞こえる大音量の音楽、毎晩のように夜中まで騒いでいる、ペットの泣き声や子どもが走り回る足音。
騒音に代表されるご近所トラブルが起こる原因は、住民のモラル低下や感覚のズレです。当人はこの位は大丈夫だろうと思っても、周りの人からすると「我慢できない!」と感じていることはよくあります。
そして人は嫌なことが気になりだすとより過敏になってくる傾向があるものです。
最初は些細なことから始まり、徐々にそれが積み重なりトラブルになってしまいます。
2, 境界確定の問題
土地付きで戸建て住宅を売却する場合には、面積を確定させたうえで売買を行うため、一般的に売買時に境界を確定したうえで売却することになります。
仲良くお付き合いをしていたのであればスムーズに境界確定が完了するかもしれませんし、お隣同士が犬猿の仲だと、お互いが言い合って協議がまとまらないかもしれません。
境界未確定でも売却できますが、買主側は境界トラブルに巻き込まれるリスクのほか、住宅ローンの担保に設定できないリスクも伴うので注意が必要です。
3, 隣人とのトラブル
理不尽なクレームを入れてきたり迷惑行為をおこない、意味なく嫌がらせをする隣人がいるケース。
4, ゴミに関するトラブル
ゴミの分別やゴミ出しの時間などのルールを守れない近隣住民がいたり、隣人や近隣住民にゴミ屋敷が存在するケースもあります。
不動産の売却には「告知義務」が必要
告知義務とは、買主がその物件を購入する際に重要な判断材料となる事実を隠さずに伝える法的責任です。
しかし、例えば騒音といえども感じ方は人それぞれです。判断基準は以下を参考に判断してください。
告知義務のあるトラブル | 告知義務がないと考えられるトラブル |
クレーマーと知られる隣人がいる | テレビの音量、会話の声 |
隣地との境界線に関するトラブル | 日常生活で発生する騒音 |
近隣に反社会勢力の事務所がある | 数年前に隣人とトラブルを起こしたが、その後はトラブルがない |
不動産の告知義務に違反したらどうなる?
契約解除
減額請求に応じない場合、買主から売買契約を解除される可能性があります。損害賠償請求
告知義務違反で契約解除になった場合、買主が売買契約のために負担した費用について損害賠償請求される可能性があります。 契約書の印紙代、登記費用、引っ越しの費用などです。 隣人トラブルで心理的苦痛を受けた場合は慰謝料の請求となるケースもあります。 また、告知義務違反は売主だけではなく仲介した不動産会社にも責任問われてしまうもの。 そのため、告知義務に違反すると買主からだけではなく、不動産会社からも損害賠償を請求されてしまう可能性があります。隣人・近隣トラブルがある家を売却するポイント
できるだけトラブルを解決してからの売却が望ましいですが、難しい場合はトラブルがある旨を隠さずに伝えた上で売却しましょう。
可能ならトラブルを解決してから売却
隣人トラブルは環境的瑕疵として告知義務の対象になる場合があるので、未解決で売却すると損害賠償請求や契約解除のリスクが生じる可能性があります。 可能な限り事前にトラブルを解決してから売却することが望ましいです。 「トラブルを解決できないから売るのに!」と思うかもしれませんが、売却際し解決に向けた行動を取ると、意外に解決できるケースもあります。 隣人トラブルの解決には、 相手に直接注意するのは避け、管理組合や管理会社、自治体など第三者を通して解決を図るのがおすすめです。 悪質だったり身の危険を感じたりする場合は早めに警察へ相談すると良いでしょう。 ただし、近隣トラブルを解決する過程で法的手段を取った場合、近隣住民との関係がさらに悪化するリスクもあるため、ご注意ください。近隣トラブルが未解決のまま不動産売却するリスク
近隣トラブルが解決されないまま自宅を売却する際には、売却価格の減額を覚悟しなければなりません。 減額幅は、トラブルの性質や深刻さ、買主の許容度によって異なります。 近隣トラブルを気にしない買主に出会うのは稀であり、売却活動が長期化することを覚悟する必要があります。売却方法の選択肢
媒介・・・買主と売主の間に不動産会社が入って取引する
メリット | 相場に近い金額で売却できる |
デメリット | 買主が決まるまで時間がかかる可能性がある |
仲介・・・買主と直接取引する
メリット | 買主を探す必要がなくスピーディに売却できる |
デメリット | 相場より低い金額での売却になることが一般的 |
まとめ
売却予定の不動産に近隣・隣人トラブルがある場合、売主は告知義務を負います。
告知義務を怠ると、買主から損害賠償や契約解除の要求が生じるリスクがあるため、正直に伝えましょう。
スムーズに売却する方法としては、トラブルを解決することが最善ですが、それが難しい場合は不動産会社に買取を依頼すると良いでしょう。
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