断り方や見分けるポイント購入後の対処

「デート商法」とは、相手の恋愛感情に付け込んで高額商品をかわせる悪質商法のひとつで、「恋人商法」とも呼ばれます。 相手に好意を持っていると、不動産をいらないと思っても嫌われるのが怖くて断りにくいものです。相手への信頼や好意に付け込まれ、仕方なく契約をしてしまうケースが多いと言われています。

デート商法のもっともおそろしい特徴は、婚活や恋愛感情を巧みに活用して被害者を信じ込ませてしまうので「被害に気づくのが遅い」ということです。
不動産購入後に連絡が取れないことで、初めて騙されたことに気づくことが多くあります。

また、加害者が異性という性質上、「騙されたのが知られたら恥ずかしい」と思わせることで被害発覚を遅らせてしまうことが多いようです。また、加害者側が「本人の意思でしたこと」と言ってしまうと、犯罪として立証しにくいということが問題点として挙げられます。
一度デート商法で騙されてしまうと、個人情報が他のところにも出回るリスクがあります。

このコラムでは、「デート商法」の中で最も高額な商品といえる「不動産投資」に関して、実際に用いられる手口や、デート商法かどうかを見分けるポイント、そして安全な断り方を紹介していきます。
デート商法の特徴
  • SNSやマッチングアプリなどで知り合う。
  • 加害者は、イケメン、美女など、異性にとって魅力的な容姿。
  • 自分の魅力を使って積極的にアプローチしてくる。
  • 職場や学校の先輩という言い方ではなく「お世話になっている人」という言い方で人を紹介してくる。
  • 知り合いの店/自分の店などに連れて行こうとする。
  • 「お世話になっている人」がいるイベントなどに連れて行こうとする。
  • プライベートな話をすることで仲を深め、感情移入させる。
  • 将来設計や資産の話をして結婚を匂わせ、不動産投資を勧める。
  • クーリングオフされないよう購入後もしばらく連絡を取る。
  • 最後は連絡が取れなくなり、自然消滅。

SNSやマッチングアプリ経由で近づいて来る、魅力的な容姿の仕掛け人

デート商法の仕掛け人の多くはSNSやマッチングアプリ、出会い系サイト、合コン、婚活パーティなど経由して身分を秘匿して接近してきます。そして彼らは、異性として魅力的な容姿をしています。
男性には女性が、女性には男性がコンタクトを取ります。会話の中で緊張をほぐし、「君に会ってみたい」「あなたに会ってみたい」など特別な感情を抱かせるようにして呼び出します。

 将来設計や資産の話をしはじめたら注意

多くの場合、仕掛け人は2〜3回のデートを重ね、ターゲットの心のハードルを下げたところで、将来の話をすると見せかけて不動産投資を勧めてくることが多いといいます。
巧みな言葉で警戒心を解かせ、恋愛気分にさせて信用を勝ち取ったら勧誘は勧誘と思われずに進みます。
「いずれは結婚するのだから」「2人の将来のために、今からきちんと備えておこう」と不動産投資をすすめて来たら注意が必要です。常識的に考えれば、数回のデートで将来の為に投資を勧めるなどありえない話です。 何らかの投資話を持ちかけてきたら、まず疑うべきでしょう。 後に残るのは割高な不動産物件とそのローンのみです。

デート商法物件の注意点

  • 割高な物件が多い
    デート商法をしないと売れないような物件は、間違いなく相場よりも高値に設定されています。
  • 満室を装う
    マンション経営で空き室の多い物件は価格が安くなりますし、投資する方もためらいます。それを自分たちで入居して満室を装うことで、収益のでる物件だと偽装させたりします。
投資の為に買った物件が実は相場より高く、立地が悪く空室リスクが高いと思われる最悪物件で、高額なローン支払いに加え、修繕費、空室など持ち出し金が増えて返済が苦しくなることが予想されます。


被害に遭ったらどうする?

クーリングオフする

クーリングオフとは、契約時から一定期間内であれば解約できる制度のことを言います。

  • 売主が不動産業者である
  • 申込や契約をした場所が業者の事務所以外の場所である

これらの条件を満たしたうえで、クーリングオフの告知を受けてから8日以内に書面で契約の申し込みを撤回したり、契約を解除することができます。 ただ、デート商法の場合、加害者はこれを防ぐ意味でこの期間は親密さを保つので、被害者はこの時点では気が付かないことが多く注意が必要です。

新法による契約を取り消し

2019年6月の消費者契約法改正により、デート商法の被害に遭った人を保護する条文が新設されました。

  1. 消費者が社会生活上の経験が乏しいこと
  2. 消費者が、勧誘者に対して恋愛感情その他の好意の感情を抱いたこと
  3. 消費者が、勧誘者の方も自分に同じような感情を抱いていると誤信したこと
  4. 勧誘者が、消費者がそのように誤信していることを知りながら、これに乗じ、契約しなければ自分との関係が破綻すると告げたこと
  5. 消費者が、契約しなければ関係が破綻すると言われたことに困惑して契約したこと
【「社会生活上の経験が乏しい」とは?】
主に若年者を念頭に置いた要件ではありますが、「社会生活上の経験が乏しい」かどうかは、必ずしも年齢によって決まるものではありません。  消費者庁の解説によれば、「社会生活上の経験が乏しい」とは、社会生活上の経験の積み重ねが、その契約をするかしないかを適切に判断するのに必要な程度に達していないことをいうとされており、それまでの就労経験や他者との交友関係などの事情を総合的に考慮して判断するとされています。 したがって、中高年であっても社会生活上の経験に乏しいと判断されることもありますし、逆に、若年者であっても、それまでの社会経験次第ではこの要件に当てはまらない場合があり得ます。

被害に遭わない為に

不動産のデート商法は、だまし取られる金額が高額であるのに加えて、信頼した相手から裏切られるという精神的ダメージが非常に大きい悪質な詐欺です。被害の立証が難しいため、知識を深めてトラブルを未然に防ぐことが大切です。

【相談無料】デート商法による投資用マンション販売|被害にあわないために
  • 素性の分かりづらい人を安易に信用しないようにする。
  • メッセージなどで、職業や年収について執拗に聞いてくる場合は、注意が必要。
  • SNSや婚活アプリの場合、プロフィール写真を過度に加工している場合が多い。
  • 仕掛け人はファイナンシャルプランナーや投資コンサルタントなど、信頼感のある肩書を名乗って信用させる場合もある。
  • 「自分はだまされないから大丈夫」と思っていても、直接会ってしまうと断りにくい状況に陥ってしまう。会う前に慎重な判断を。
  • お互いのことをよく知らないうちから「将来のため」などと投資を勧める発言をされたら要注意。
  • 結婚したい気持ちが強くても、早まらずに一度家族や友人に相談すること。
  • 自分の職業や収入、資産状況などを軽率に話さない。

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