いざ住んでみて、建物に不具合があったらどうする?
隠れた瑕疵
隠れた瑕疵には、物件に関する物理的瑕疵のほか、心理的瑕疵(事件・事故・自殺等)、法律的瑕疵、環境的瑕疵があります。物理的瑕疵の物件
<建物>- 雨漏りや水漏れ、床下浸水が生じていて、居住に支障を生じさせている
- 壁面のひび割れ
- シロアリ被害が生じて建物の強度が著しく低下している
- 建物の給排水管が故障して利用に耐えない
- 耐震強度の基準を満たしていない。
- 埋設物がある(浄化槽、産業廃棄物、排水管)
- 土壌汚染がある。
※工場跡地などの場合は、上記のリスクがありますので注意が必要です。 - 地盤沈下などで、地盤自体が不安定である。
心理的瑕疵の物件
- 自殺・他殺・事故死・孤独死などがあった物件だと判明した。
環境的瑕疵の物件
- 騒音・振動・異臭・日照や眺望障害。
- 近隣にごみ焼却場や火葬場、廃棄物処理施設,遊戯施設等の施設があることにより環境上の問題となりうるような場合。
法的瑕疵
以下の法律に違反した物件を買ってしまうと、その後に建て替えや建築ができなかったり、住宅ローンが下りなかったりします。 事前に不動産に瑕疵がないかどうかしっかりと確認しておきましょう。- 都市計画法
- 建築基準法
- 消防法
2,契約不適合責任とは?
契約不適合責任は2020年3月までは瑕疵担保責任と呼ばれていましたが、2020年4月の民法改正で、契約不適合責任と呼ばれるようになりました。
契約不適合責任をわかりやすくいえば、「買う約束をした物と現物が違う」という買主の主張を認めて、売主に負わせる責任です。
売主は、売買契約の内容に合ったものを買主に引き渡す義務を負っています。契約不適合責任とは、この契約において売主が買主に引き渡した目的物が、その種類・品質の点で契約内容と異なっていたり、数量が不足していた場合(契約内容に適合していなかった場合)に、売主が負う責任を指します。
例えば、雨漏りを知っていながらそれを契約書に明記していなかった場合、契約内容と異なったものを売ったとして、売主は契約不適合責任を負うことになります。
売主の瑕疵担保責任に関する見直しについて(赤字が法改正部分)
買主の救済方法 | 買主に帰責事由あり | 双方とも帰責事由なし | 売主に帰責事由あり |
損害賠償 | 不可 | 不可 | 不可 |
契約賠償 | 不可 | 可能 | 不可 |
追完請求 | 不可 | 可能 | 可能 |
代金減額 | 不可 | 可能 | 可能 |
目的物に欠陥がある場合における担保責任の内容(赤字が法改正部分)
売買 | 請負 | |||
現行 | 改正法 | 現行 | 改正法 | |
修理・代替物等の請求 | × | 〇 | 修理については 〇 |
〇 |
損害賠償 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
契約解除 (催告解除・無催告解除) |
〇 | 〇 | 〇 (建物等制限あり) |
〇 |
代金減額 | × | 〇 | ✕ | 〇 |
3,契約不適合責任を問われるとどうなる?買主が請求できる権利とは
- 契約不適合責任で認められた買主の請求権は、以下の4つです。
- 代金減額請求権
- 損害賠償請求権
- 契約解除権
追完請求権
買主は、引き渡された不動産が契約に適合していないとき、売主に対し下記のいずれかで、完全な(契約に適合した)状態にする請求ができます。- 目的物の修補
- 代替物の引渡し
- 不足分の引渡し
ただし、不動産は基本的に同じものがない特定物ですので、代替物の提供や数量を追加するという方法は困難な場合や適切ではない場合が通常です。そのため、基本的に不動産売買における追完請求とは、具体的には修補請求が中心となります.
代金減額請求権
買主が、相当の期間(売主が対応できるだけの期間)を定めて追完請求をしたにも関わらず、売主が対応しないときは、契約不適合の程度に応じて代金の減額を請求できます。
一方で、契約不適合の内容によっては、売主が対応できないケースも考えられます。
たとえば、契約上で100坪の土地売買だったはずが、実際には99坪しかなくても、売主には足りない1坪を追加で引き渡す方法がありません。
このように売主が追完できない場合は、買主が追完を求めなくても代金減額(例では1坪分の減額)を請求できます。
売主が追完を拒絶した場合や、契約に適合する見込みがない場合も同様です。
次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。
- 履行の追完が不能であるとき。
- 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
- 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
3,契約不適合責任の範囲と期間
購入した住宅に何かしらの欠陥がある場合、買主は契約不適合責任を受けられます。契約不適合責任とは、引き渡し後に瑕疵があった場合に補修や交換をしてもらえるサービスです。
中古住宅を購入後、買主は一定期間保証を受けられます。 ただし、新築住宅にある10年間の長期保証は付いていません。
中古住宅は新築住宅と同様の保証を受けることができないため、契約約款の保証内容がどのようになっているか確認する必要があります。
中古住宅の場合の瑕疵保証
<売主が不動産会社の場合>不動産会社が売り主の場合、最低2年が保証期間となります。 前述した宅地建物取引業法によるものです。
<売主が個人であり宅地建物取引業者による媒介の場合>
売主が個人の場合は、一般的に3ヶ月を保証期間とすることが多いです。 ここは契約の内容次第で変わるので注意が必要です。
また、買主ができる要求は修復費用の請求のみになります。
契約自体の解除はできません。
中古住宅購入後のトラブルを未然に防ぐ方法
- ホームインスペクションを入れる
ホームインスペクションを行うと、プロの視点からトラブルの原因になりそうな箇所を可能な限りチェックしてくれます。 - 内見時に徹底的にチェックをする
中古住宅を購入する場合は、内見時に建物をすみずみまで徹底的にチェックしましょう。引き渡しの前に「住宅が空っぽの状態である」ことを確認してから引き渡しを終えることがトラブルを避けるポイントです。 - 契約内容をしっかり確認する
中古住宅購入後のトラブルを避けるためには、契約内容をもれなく確認することが肝心です。
契約内容に関して少しでも疑問があれば、必ず売主に確認し、契約締結前に懸念を解消しておくことをおすすめします。 - 既存住宅瑕疵担保保険に加入する 中古住宅購入におけるトラブルをフォローする方法のひとつが「既存住宅瑕疵担保保険」に加入する方法です。
既存住宅売買瑕疵(かし)保険に加入するためには、住宅の基本的な性能について、専門の建築士による検査に合格することが必要です。
これにより、中古住宅を購入しようとお考えの方にとって、安心が確認された住宅の取得が可能となります。
当方は非営利団体である一般社団法人が運営する完全無料相談所です。
相談解決による成功報酬も御座いませんので、まずはその悩み、私どもにお話してみませんか?
ご相談をお待ちしております。